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ラジオ用番外編
 
智一・美樹のラジオビッグバン』(日曜日:25:30〜26:00 / 文化放送) の番組内で、関智一さんが朗読しているものをテキストにまとめたものです。
 
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シュラキ外伝 「木漏れ日の神子(かみこ)」

8月12日放送分 : 第 十二 話

 

突然、機関から解雇を言い渡され、身元不詳の巫女・伽乃(とぎの)と寮を後にしたも束の間に、
軍の一団に取り囲まれた。伽乃は真っ向から兵士達に向かって走り出し、私は急に現れた
助手の女性に手を引かれるまま、その場を後にした。そのまま袂を分かった。

「皆さんが言ってました。あなたは知り過ぎてしまった、と」

「知り過ぎた…?」

市街地から抜け出した私達は、小高い丘の開けた場所で落ち着いた。
そこは、数週間前、伽乃と出会った小さな公園であった。
高台から見下ろす街には既に宵闇が迫り、辺りでは、点在する灯篭の光だけが、
ささやかに揺らめいていた。

何となくは予想が付いていた。
全国を渡り歩き、その土地に根付く伝来・伝承・逸話を調べ上げた私の研究成果は、
朧神と修羅鬼についての研究素材として相応しいもの。
だが、その事実を知る事自体は、彼ら研究機関、後ろに控える日本政府にとって、 不要だったというわけだ。
確かに、西欧列強と対等に渡り合うすべに通ずるとまで言われているのだから、 それも当然である。

「ではさっきの軍人達は何故私を狙ってきたのですか?既に私は用済みと捨てられた存在でしょう!?」

「彼らも一枚岩ではないという事です」

なるほど…追放するだけでは手ぬるいと、処分する算段が行われたわけか。

「そうですか…貴女はもうここを離れた方がいい。巻き添えを食いますよ」

彼女は最初それを拒んだが、私が強く咎めた。巻き込むわけにはいかない。

「じゃあ…最後にこれだけは、お教えしておきます」

助手は最後に言った。阿修羅の修羅に鬼と書いてシュラキ。
だがいつしかその当て字は、このように変えられたという。
朱色のシュに、阿修羅の羅、そしてヒメとかいてキ。それが朱羅姫(シュラキ)。

とっさに思い出したのは、伽乃の姿だった。
艶やかな赤の巫女装束に、艶麗なるその立ち振る舞い、それはまさに…。
業火の戦いの中で、それでも美しく舞い踊る姫君の姿であった。

 

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