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ラジオ用番外編
 
智一・美樹のラジオビッグバン』(日曜日:25:30〜26:00 / 文化放送) の番組内で、関智一さんが朗読しているものをテキストにまとめたものです。
 
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シュラキ外伝 「木漏れ日の神子(かみこ)」

7月8日放送分 : 第 十 話

 

「と、伽乃!おい、伽乃!」

私は血だらけの伽乃に駆け寄り、上半身を起こすと何度も呼びかけた。

「あっ…あぁ。お前か。お帰り。今日は…早かった…のう」

「何をのん気に!今から病院に連れて行ってやるからな!」

「構うなっ!ほおっておけ!」

「そんな事できるわけないだろう!?」

「頼む…このままで…。案ずるな。妾(わらわ)は無敵ぞ」

私は何も言う事が出来ず、そのまま瞳を閉じた伽乃の寝顔を見続けた。
一体彼女に、何か起きたのか。いや、それよりも、この伽乃という女は何者なんだ?
誰かに命を狙われている?軍隊?政府?…それとも何か別のもの…?
血に染まった自室の畳を見つめながら、私は疑念の渦に囚われていった。

「しゅら…き…」


その翌日、婀娜の土地で起きた過去の伝承には、続きがあった事を知る。
朧神を滅ぼしたすぐ後、てだれの女性達は、互いに殺し合いを始めたという。
朧神の呪いだ、怪物の怨念が女達を操っているのだと、人々は恐れた。
その女達を、当時の人はこう呼んだ。

阿修羅に鬼と書いて、修羅鬼。

「朧の曲」に関して、調査を続けていくうち、学生の頃の研究を思い出す。

「伝統芸能の起源と民族に与える影響」。

要は、古事記や日本書紀などの流れから、お上、つまり天皇という形式がある、
といったような、伝承と現実社会の相関性を明らかにするという研究なのだが…。
なるほど。何となくだが、分かってきた。
以前私は、日本中を旅し、各地方にまつわる伝承について洗いざらい調べてみたことがあった。
若気の至りというか、勢いと情熱だけに身を任せて強行した、趣味に近い一人旅だったのだが、
そこで我ながら数多くの興味深い資料を集めることが出来た。

ここは…この研究機関は…それが欲しかったのか。 私という頭脳ではなく、私の集めた資料が。
とはいえ、力不足は既に痛感していたわけで、そこに対する辛さはもうあまり無い。
そして今回、それらは朧の曲の解読にも、一役買ってくれたのだ。

同僚の学者達にその事を伝えると、皆が目をカッと見開き、顔を見合わせた。
それは、彼らが私の知らない何かを知っているという合図だった。
 

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