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ラジオ用番外編
 
智一・美樹のラジオビッグバン』(日曜日:25:30〜26:00 / 文化放送) の番組内で、関智一さんが朗読しているものをテキストにまとめたものです。
 
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シュラキ外伝 「木漏れ日の神子(かみこ)」

6月24日放送分 : 第 八 話

 

陸軍の小隊が去った後で、巫女装束の女性を再び見やると、あろう事か彼女は、スヤスヤと寝息を立てていた。
よくもまぁこれだけの出血で、気持ち良さそうに眠れるものだ。
だがこのまま置いていくわけにもいかず、鴉も鳴き出す夕刻まで、私は傍で付き添った。

「…お前は、誰じゃ?」

「あっ。気が付いたのか?」

「誰じゃと、聞いておる」

随分と横柄な口を利く女だと思った。と同時に、
長く伸びた黒髪と、透き通るような白い肌が夕日に照り返り、美しさにしばし見とれた。

「私は…」

これが私と、伽乃(とぎの)の出会いであった。


「随分と殺風景な部屋だのう…」

「君はよくも抜け抜けと、そんな事が言えるな」

「主(ぬし)が無理やり、妾(わらわ)を部屋へ連れ込んだのではないか」

「おい…行く当てもないから連れていけとせがんだのは、君の方じゃないか。
他人が聞いたら勘違いしそうな事を言うのは止めてくれ」

「度量の小さい男よのう」

「しかし悪いが、長居させる事は出来ないぞ。ここは元々一人用の部屋だ。
寮長にでも見つかったら、私まで追い出されてしまう」

「安心しろ。そんなヘマなどせんわ」

こうして伽乃との奇妙な共同生活が始まった。
とはいえ、私自身は研究機関にほぼ入り浸りだったので、
数日に一度部屋に帰った時に、 顔を合わせるくらいだった。

伽乃自身、とても無口で自分からはあまり話そうとしなかった。
帰るといつも窓辺に腰をかけて、広がる帝都の町並みを眺めていた。
素性について何度も詰問した事があったが、いつもはぐらかされた。

「世の中、知らぬ方が良い事もあるのだぞ」

そう言って、伽乃は寂しそうに微笑んだ。



数日後の事、助手の女性が訊いてきた。

「最近何かあったんですか?」

「え…?なぜ、そんな事を?」

「だって前に比べて、随分活き活きとされていますよ。凄く楽しそう」

伽乃が、無意識のうちに私に少しずつ変化をもたらしていたようだ。
 

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