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ラジオ用番外編
 
智一・美樹のラジオビッグバン』(日曜日:25:30〜26:00 / 文化放送) の番組内で、関智一さんが朗読しているものをテキストにまとめたものです。
 
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シュラキ外伝 「木漏れ日の神子(かみこ)」

6月17日放送分 : 第 七 話

 

「おい!大丈夫か!」

私は急いで駆け出し、倒れている女性の下へと向かった。
近づいてみると、白と赤の衣装が、神社で働く女性が着飾る、いわゆる「巫女装束」だと気付いた。

「…ん、んん」

年齢は私と同じくらいだろうか。女性は瞳を閉じたまま、かすかに呻いた。
背中を抱え、上半身を軽く揺すってみる。

「おい、おい!しっかりしろ」

胸元の白い生地が赤く染まっていた。先ほどの液体が飛び散ったような音は、
この女性が血を流した音だったのか。だとすれば軽い傷ではない。

その時だった。 植林された桜の木々の反対側に、物々しい声が響いた。

「この辺りに逃げ込んだはずだ!探せ!あの身体で遠くへは行けん!」

男勝りに張り上げてはいるものの、それは女性の声だった。
そしてザッザッと複数の足音が続いた。
木陰から様子を伺ってみる…あれは…陸軍?数刻前、街ですれ違った陸軍の小隊だった。
先導しているのは、他の兵士と同様に軍服を身に纏ってはいるものの、
一人だけしなやかな体躯(たいく)をした女だった。

「この人を…探しているのか…?」

負傷した女性。迫る軍隊。私は政府直属の研究員。
少し考えれば、ここでどうするかなど容易に判断が付く。
だが…その時、私は見てしまったのだ。
木漏れ日を浴び、艶を帯びた睫毛(まつげ)から、真珠のような涙が、一粒こぼれ落ちたのを。


「お前、ここで何をしている?」

軍服の女がこちらに近づいてきた。

「…ただの散歩ですが?」

「…怪しいな。名を名乗れ、身分が分かるものがあれば、なお良い」

「私は…」

こういう時、この肩書きは役に立つと思った。
所属する機関名、そしてその一員の証である徽章(きしょう)を見せると、
軍隊の女は急に態度を変え、尻尾を巻いて去っていった。

一糸乱れぬ拍子で消え行く足音を最後まで確認してから、私は木々の陰で横たわる女性を再び見つめた。

 

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